皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹
皮膚が潤いを保てているのは、皮脂腺から分泌される皮脂と水分によってできた皮脂膜が、水分を保持している皮膚の角層(角質層)を覆っているためです。
何らかの原因で皮膚から皮脂や水分が蒸発してしまうと、皮膚は乾燥してしまいます。
この状態を皮脂欠乏性湿疹といいます。皮脂欠乏症の皮膚は外からの刺激を受けやすく、刺激が加わると皮膚が湿疹化することがあります。これを皮脂欠乏性湿疹といいます。
高齢の方に多くみられ、すねといった膝から下の部位や脇腹、手足などに発症しやすいです。
原因
高齢の方で最も考えられる原因は加齢です。年を重ねると、皮脂膜を構成する皮脂が分泌される量が減っていくためです。
また、秋~冬の空気が乾燥する季節や入浴時に石けんで全身を洗ったりタオル等で体をこすり過ぎることも、皮膚から必要以上に皮脂が奪われる原因となります。
また、温度が高いお風呂に浸かる、長時間の入浴も悪化する原因になります。
皮脂膜による保護が欠乏、減少するとアレルゲンなどが皮膚に侵入しやすくなり、かゆみ・湿疹を引き起こすのです。
皮脂欠乏性湿疹の場合は、皮脂が減った状態の肌をさらにかきむしったり、タオルでこすったりすることなどが考えられます。
症状
光沢を失ったような見た目をしていて、皮膚の表面が剥がれます。また軽いかゆみも感じます。
刺激が加わればかゆみは増して赤くなり、皮膚にひび割れがみられることがあります。
皮脂欠乏性湿疹に移行した場合は湿疹に加えかゆみはさらにひどくなり、夜間に目が覚めてしまうこともあります。
治療
治療は患部に保湿剤を塗ることが基本ですが、あわせて生活習慣を見直す必要があります。
当院では、不必要な石けんの使用は控えるよう指導しています。また、熱すぎる湯は皮脂を奪う原因にもなるので避けましょう。
部屋が乾燥している場合はしっかりと加湿していきます。
湿疹がみられる場合はステロイド外用薬を塗り、その上から保湿剤を塗っていきます。
皮脂欠乏症は軽い症状のうちに対応して、悪化させないことが大切です。