疥癬
疥癬(かいせん)とは、「ヒゼンダニ」と呼ばれる0.2~0.4mmくらいの小さなダニが皮膚に寄生する病気です。
寄生するヒゼンダニの数によって、通常疥癬と角化型疥癬の2種類に分けられます。
症状と感染経路
通常疥癬の症状
寄生するヒゼンダニが数十匹程度の場合、通常疥癬と呼ばれます。
強いかゆみをともなう赤いブツブツとしたできものが特徴で、手掌などには線状皮疹(ヒゼンダニが皮膚の中にトンネルを掘り進むことでできる数ミリの皮疹)がみられることもあります。首から上を除いた全身に見られます。
感染力はそれほど強くありませんが、疥癬が感染している部位に長時間直接触れていたり、疥癬の患者さんが使用した寝具などを交換せずに使ったりすることで感染します。
角化型疥癬の症状
寄生するヒゼンダニの数が非常に多いタイプは角化型疥癬と呼ばれます。
加齢や病気などで抵抗力の低下している患者さんに見られ、ヒゼンダニの数は100万~200万匹にも増えた状態です。
皮膚にウロコのような分厚い垢が見られ、ボロボロと剥がれ落ちるのが特徴です。
かゆみはない場合もあり、首から上も含む全身で見られます。
感染力が非常に強く、短い時間での接触や間接的な接触だけではなく、皮膚からはがれた垢などから感染することもあります。
治療
寄生しているヒゼンダニを殺すため、お薬で治療を行います。
塗り薬では、フェノトリンローションやイオウ剤などが保険適応されています。
塗り薬は、塗り残しのないように全身くまなく塗るようにしてください(通常疥癬の場合は首から上を除きます)。
内服薬では、イベルメクチンというダニを殺すためのお薬が処方されます。かゆみが強い場合には、かゆみ止めとして抗ヒスタミン薬が処方されることもあります。
治療中は、周囲の人に感染させないための対策も大切です。
通常疥癬では、介助時などに肌を直接触れないようにする、入浴時のタオルを分けるなど注意しましょう。
感染力の強い角化型疥癬では、短時間の接触や患者さんの肌から落ちた皮膚からも感染することがあります。
患者さんにはできれば個室を用意し、接触する際は予防着や手袋を着用するようにしましょう。
また、寝具や衣服の洗濯、お部屋の掃除はこまめに行い、清潔を保つようにしてください。