尋常性乾癬
尋常性乾癬は、皮膚が赤く盛り上がったり、フケ状の皮がポロポロと剥がれ落ちたりする病気です。
「カンセン」という病気の名称から誤解されることがありますが、ほかの人にうつる病気ではありません。
良くなったり悪くなったりを繰り返す病気なので、じっくりと治療に取り組む必要があります。
症状
尋常性乾癬では、下記のような症状がみられます。頭皮やひじ・膝、腰まわりなど、こすれやすい場所に出現しやすいです。
紅斑(こうはん)
炎症によって毛細血管が拡張し、皮膚が赤くなった状態
浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)
炎症性細胞が集まることによって表皮細胞が異常に増えてしまい、皮膚が赤く盛り上がった状態
鱗屑(りんせつ)
銀白色のフケのようなものがポロポロと剥がれ落ちる
こうした症状に、かゆみを伴うことも多くみられます。皮疹がない所もこすってしまうと病変を誘発してしまうので注意が必要です。
病因
乾癬は遺伝的な素因と様々な免疫の異常を背景とした慢性の炎症性皮膚疾患です。
尋常性乾癬だけでなく、関節などに炎症を伴う関節性乾癬や、皮疹が小型の滴状乾癬、膿疱を伴う膿疱性乾癬などの病型があります。
治療
一人ひとりの患者さんの症状や状況に応じた治療を行います。
治療の中心となるのは、炎症をおさえる塗り薬(ステロイド外用薬)や、表皮細胞の増殖をおさえる塗り薬(ビタミンD3外用薬)です。
重症の場合は、飲み薬や紫外線療法、注射による治療(生物学的製剤)を組み合わせて行うこともあります。
当院では専門的な治療が必要な場合は大学病院などをご紹介しています。
日常生活での注意点
乾癬は、生活の中の様々な要因で悪化してしまうことがあります。そのため、下記のようなことに気をつけて過ごすことをおすすめします。
- ストレスをためないようにする
- 規則正しい生活を送る
- 長めのお風呂は避ける
- 頭や身体を洗うときはこすらないようにする
- 肌の乾燥を避ける(保湿する)
- タバコはやめる
- やわらかい素材の服(肌への刺激が少ない)を身につける
- 高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームを改善する
乾癬を根本的に治す治療法は、まだ見つかっていません。
ですが、適切な治療を行い、生活習慣に気をつけることで、症状が出ないようにおさえることは可能です。
ご不明な点は、ぜひご相談いただければと思います。