魚の目・たこ
「魚の目(うおのめ)」と「たこ」は、ともに皮膚の表面が硬くなる良性の皮膚疾患です。
両疾患とも何らかの原因によって皮膚の一部分が圧迫・摩擦され続けることで生じるため混同されやすいですが、違いがあります。
魚の目
皮膚は上から表皮、真皮、皮下組織の3層構造でできていて、表皮の最も外側には角層(角質層ともいいます)と呼ばれる硬い層があります。
日常的に皮膚の一カ所が刺激を受け続けると、刺激を受けた皮膚の角層が肥厚(太く厚くなること)し、さらに肥厚した角層が芯のようになって真皮へと深く入り込むことがあります。この状態を魚の目といいます。
魚の目の大きさは直径約5~7mmほどで足の指や足裏によくみられ、患部が圧迫されると痛みを伴います(圧痛)。
長時間歩いたり、歩き方にくせがあったり、靴が合わなかったりしていることなどが原因として考えられます。
その名の通り魚の目のような見た目をしていますが、この呼び名は俗称で正式には鶏眼(けいがん)といいます。
たこ
たこも長時間の歩行などにより刺激を受け続けた皮膚の角層が肥厚したものですが、魚の目と違って角層は深部に入り込んでおらず、刺激を受けた皮膚が盛り上がって硬くなった状態です。外観は黄色味を帯びています。
通常痛みを感じることはなく、かえって感覚が鈍くなることもあります。
足だけでなく、刺激を受ける場所であればどこにでもみられます(例:ペンだこ、座りだこ)。
正式には胼胝(べんち)といいます。
治療
魚の目・たこは圧迫などの刺激が原因となります。
患部にパッドをあてたり、自分の足の形にあった靴を使用したりすることなどで、直接刺激を受けないようにしましょう。
当院では正しい靴の選び方や歩き方についても指導します。
また魚の目の痛みで生活に支障が出る場合は、メスなどで芯を削り取る方法もあります。
このほかレーザーで焼き切ったり(電気焼灼法)、液体窒素を使って患部を凍結・壊死させたり(冷凍凝固療法)する方法を選択することもあります。(保険適応外です。)
芯を取り除いても原因が解消されなければまた発生する恐れがあります。パッドなど上記で紹介した方法で予防することも大切です。
魚の目・たこ自体は良性の皮膚疾患ですが、見た目が似ていて治療が必要な疾患もあります(ウイルス性疣贅など)。
ですので、気になる場合は自己判断せず、病院を受診してみてください。