薬疹
薬疹は、薬の副作用で生じる発疹です。ほとんどの場合、薬に対するアレルギー反応として起こります。
初めて使った薬ですぐに発症することはなく、多くは薬(飲み薬や注射薬など)を使い始めて1~2週間ほど経った頃に発症します。
また、長い間使い続けてきた薬で急に発症することもまれではありません。
病院で出された薬だけでなく、市販の風邪薬や目薬、漢方薬、サプリメント、栄養ドリンクなどで起こることもあります。
症状・種類
薬疹には様々な型があります。
最も多くみられるのは、小さな赤い斑点が全身に広がるタイプで、多くの場合かゆみを伴います。
一方、まれではありますが次のような重症の薬疹がみられた場合、すぐに治療を行わなければ命に関わることもあります。
スティーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症
全身に赤い水ぶくれやただれが生じ、高熱や目の充血を伴います。
擦るだけで皮膚が剥がれてきてしまうこともあり、剥がれた皮膚の面積が10%以下のものをスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、それ以上のものを中毒性表皮壊死症(TEN)といいます。
SJSやTENでは、目や口、性器など粘膜にも症状が出ます。
発熱や目が赤い、口に違和感がある、おしっこするときにしみるなどの粘膜症状がみられたら、ただちに皮膚科を受診してください。
薬剤性過敏症症候群
ウイルスが関連する薬疹で、薬を使用してから発症までにしばらく時間がかかる(平均4週間、ときには1年以上)のが特徴です。
かゆみを伴う赤い斑点に加え、発熱やリンパ腺の腫れが生じます。原因となった薬の服用を止めても悪化し続けることがあり、早急な治療が必要となります。
治療
薬疹は、一刻も早く治療を開始する必要があります。薬が原因と思われる発疹が生じたら、すぐに皮膚科を受診してください。
下記を医師に伝えていただけると、診断を行いやすくなります。
- 使用している薬の名前と、使い始めた時期
- いつから発疹が出始めたか
- 口や性器など粘膜の症状はないか
- 今までに薬による発疹が出たことはないか
まずは、原因と思われる薬の使用を止めます。
症状に応じて、アレルギー反応をおさえる飲み薬や、炎症をおさえる飲み薬・点滴を使います。重症の場合、入院が必要です。
同じ薬を服用した場合、再び薬疹が出ます。
原因となった薬が分かったら、その薬の名前を記録し、家族など身近な人にも伝えておきましょう。